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「旅は靴擦れ」

 旅をするなら、1人旅が好きだ。どこからどこまでを旅と言うのかは知らないけれど、バイクのツーリングや、休日に、ふらっとどこかへ目的地も無く出かけるのも旅とするならば、私は1人で行くのが好き。多人数での旅が、嫌いな訳では無く、ただ、1人の旅も好き。なだけなのですが。全く人間と言うのは、1人では決して生きては行けない物でありながら、1人である時が無くてもダメであると言う、難儀な生き物でありますね。

 例に漏れず人間である私は、時に多くの仲間を作りたいと願い、時に1人になりたいと切に願う者であります。だから、全てを置いといて1人で旅に出る事があります。旅と言うより、冒険であるかも知れない。JRの大阪駅から電車に乗り、福知山まで行って、そこから特急に乗って京都まで。京都から大阪。これで北近畿1周完成。ってな、なんの意味があるのだ?って事もしましたし、買ったばかりのバイクで、ある小春日和の日曜日の朝にふと思いつき、大阪から、高知は室戸岬まで行って、そのまま室戸岬にタッチ!して帰って来た。なんて事もあります。

 そんなのが何が面白いのだ?とは、自分でも思いますが、旅や冒険の楽しみは、目的の地へ辿り着く事が一番の楽しみであるか、それとも目的の地へ辿り着くまでの課程が一番の楽しみであるか。大きく分ければそれに2分されると思います。私は、明らかに後者。私にとって、旅の目的地は、その目的では無いのです。

(1999.9.30)

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